Diary & Novels for over 18 y.o. presented by Reica OOGASUMI.
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※※  どこからどう見ても妄想だけの文章です  ※※

※※  飲酒して酔っぱらってからお読み下さい  ※※

※※  閲覧中後にどうなっても責任負えません  ※※
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BGM  Bon Jovi the Greatest Hits all album
      http://youtu.be/P6gjFtly_nI










 日野市最大の駅前、二十四時間営業の大きなスーパーの目の前に立つ、高級分譲マンションの最上階は、今日もパタパタ…と小さな足音が響いている。

「ただいまぁ」

「とーさま、お帰りなさい〜❤」

「お帰りなさい〜❤」

 綺麗に掃除された廊下を、競うように走って現れた二人の女の子を、仕事帰りの山崎は、膝を曲げて腰を下ろし、同時に両腕を広げて、思い切り抱きしめた。

「ええ子にしとったかぁ」

「しとったよ〜」

「しとったよ〜」

 一つの問いに同じ答えがほぼ同時に返ってくるのを確認して、山崎はホッと息をついた。近所の日野小学校に通う二人は小学2年生で、季節の変わり目に生まれたことから、小春(こはる)と小夏(こなつ)と言う名の双子である。ピンクとオレンジのお揃いランドセルを背負って、家に帰る前に、土方家や試衛館道場隣にある近藤家に寄って過ごすことが多く、子供だけの放課後にならないように細心の注意を払っている。

 何しろ、この双子は母親の幼少時に似て、大変に可愛いのだ。おまけに性格は父親同様に、穏やかで優しく、大人しめ。変質者に、「どうぞ攫って下さい」と主張しているようなものである。無論、両親が警察官をしている山崎家では、子供が誘拐されるなどもっての外で、年々可愛くなっていく=「土方様」の容貌になる未来まっしぐらな二人を、安全な場所に預ける必要があった。選ばれたのは、日野きらきら幼稚園と日野小学校から歩いて数分の距離にある、土方家と近藤家だった。

 もとより大家族の土方家には、常に誰かが必ずいるし、近藤家は家長の勇が元日野警察署長で現在は天然理心流宗家、娘のふたばと息子の剣士が既に免許皆伝で、怖いもの無しなのだ。弟子たちも詰めているから、道場から見える広い庭で、幼い二人が伸び伸びと遊ぶことが出来る。パトロールついでに道場にやってくる沖田総司や本条鎌足に宿題を見て貰ったり、目出度く警部補になって今は日野警察署刑事課強行犯係長を務める永倉新八が非番のときは、愛犬の二代目パトラッシュのお散歩に付き合ったりして、安心安全な放課後を送っている。

 小春と小夏は、草花と動物が大好きだ。忙しい両親をもった所為で、あちこちの家に預けられた経験からか、その場の空気を読むことが得意であり、良い事と悪い事の区別がついている。大好きな「とーさま」と「かーさま」の帰りが遅くても、駄々をこねることは滅多に無く、聞き分けが良過ぎるところが心配なくらいだ。だからこうして山崎は、帰宅したら真っ先に二人を抱きしめることにしている。

 お揃いの、四葉のクローバーの刺繍が入った水色のシャツと紺色のキュロットスカートは、いまは良き友達の、由美のお手製であった。昔、ヤクザの情婦だった彼女を、由美おばちゃま、と二人は呼んで、可愛がって貰っている。銀座でナンバーワンだっただけあって、女の子を可愛くするのはお手の物の彼女は、細くて焦げ茶の二人の髪の毛をポニーテールにしたり、編み込みにしたりして喜んでいた。御蔭で、登校の前に「かーさま」が洗面所で二人の髪のセットに悪戦苦闘している。いくら、色んな意味で無敵な「土方様」も、朝の忙しい時に、自分の支度をしながら娘二人の完璧なスタイリングは、未だに難しいようだった。

 さて、その「かーさま」は、山崎の腕時計が午後七時になろうとしていても、まだ帰宅する気配が無い。彼は相変わらずの多忙で、早くても帰宅が夜八時になるのが当たり前だし、一週間近く帰って来ないこともある。まだ幼い子供がいる家庭で、母親が不在と言うのは教育上、宜しくないことは重々承知なのだが、いかんせん、鬼のように仕事が出来る為、仕事が彼を離してくれないのである。おまけに、総理大臣をしている坂本龍馬からの信頼が厚く、責任感の強い彼は、竜馬からの依頼を断れないでいた。もしかしなくても、「断れない男ナンバーワン」かも知れない。

 そんな愛しい人の姿を娘たちのなかに見出して、山崎は、右腕に小春、左腕に小夏を抱えたまま立ち上がり、サロニカ香と植物の香りが溢れる自宅の廊下を、広いリビングに向かって歩いて行った。
autor 覆霞レイカ2014.06.01 Sunday[22:40]
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