Diary & Novels for over 18 y.o. presented by Reica OOGASUMI.
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後ろ手に縛られた姿勢のまま、斎藤は冷たい床に投げ出された。
「…くっ……」 額を強かに打ち付けて、意識が遠のきそうになる。その名の如く強姦され続けたために肉体が自分のものではないような感覚であった。 視界がやたらと暗い。犯された体内からはもはや腰から下を動かせるだけの力は出なかった。 暗闇の中で耳をすまして気配を窺うしかできない己が憎らしい。 「……断ったそうだな」 貴方の消えたみ空には
泣き出しさうな夕陽燃ゆ 振り積む雪はつめたくて 儚いくせに悩ませる 「嫌いだ」 わざとキツイ言葉を吐き出した。 「何だ」 大久保は声だけで答えて書棚を漁る。 煙草を咥えたまま、斎藤は窓の外を眺めていた。 「お前が」 寒さと、両腕に食い込む痛みで斎藤は目を覚ました。
暗闇にぼおっとランプが灯っている。後頭部を襲う鈍痛を堪えつつ気配に瞼を上げると、誰かいた。 その人物は、優雅に椅子に寛(くつろ)いでいる。長い脚を組んで煙草を燻らせながら、口の端を上げてほくそえむ…。 「!」 口がそいつの名前を叫びそうだった。 だが、はっきり覚醒した精神が、その人物の姿を明らかにする。同時に、“彼”がもはやこの世の存在でないという真実を斎藤に突きつけた。 「…起きたようだな」 山県が野太い声で言った。
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