Diary & Novels for over 18 y.o. presented by Reica OOGASUMI.
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      最終更新21th Sep.2021→「Balsamic Moon」全面改装



 昨日、長いこと電車に揺られて、起きたら私は山口にいた。
 さぁっとカーテンを開ければ、見渡す限りの青い海。
 初めて晋作に会った日に晋作に連れて行ってもらったのも、こんな色の海だったことを覚えている。あの辺りは瀬戸内海ではなく、周防灘というのだと知ったのは後だったけれど、晋作は瀬戸内の明るい海が気に入っているようで、休暇中の天気のいい日は、松山にある高杉家ゆかりの旅館で過ごしたり、もう少し足を伸ばして尾道観光などすると聞いた。どれもただの海水なのに、日本にはいくつもの海の顔がある。
 なかでも大久保の生まれ育った鹿児島の海は異形だと聞いた。私は一度も行ったことはないのだが、そこは一般的イメージで語れる範疇の日本ではなく、かと言って九州でもなく、「鹿児島」と括られるのだそうで。
 ただし大久保が鹿児島について話すことはなかった。

 彼にとって ただひとつの故郷
 辛い思い出の宿る町
 彼の口の堅さがすべてを表している
 逃げるようにして出てきた おそらくは最愛の土地…

 下関の、海を隔てた向かいには九州が広がっている。
 そのずっとずっと南に、彼の国があるのだ。
 いつか鹿児島にふたりで行けたら
 きっといろいろ教えて欲しい
 昔 お前になにがあって
 お前はなにを考えて
 どんな風に生きてきたのかを
 それから彼の手をとって
 萩の町を歩いてみよう
 子供みたいに空を見上げて
 風にまかせて行ってみよう
 そうして私は声に出すのだ
 私は大久保が好きだよと
 貴方に会えて よかったと
autor 覆霞レイカ2012.07.26 Thursday[01:57]
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