Diary & Novels for over 18 y.o. presented by Reica OOGASUMI.
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最終更新21th Sep.2021→「Balsamic Moon」全面改装 夕方近くになると大久保を思い浮かべる。窓の外を眺め、ほぅと息をつけばガラスに写る自分の顔のとなりに大久保の姿がみえるような気がするのだ 。 「今夜の機嫌はどうかな…」 昨夜の大久保は、私が江藤と親しくしていたことが原因で一晩中落ち込んでいたのだ。大久保は江藤が心底嫌いらしい。私はただ、法律に異常というほど精通している江藤が近くにいれば有利に議事を進めていけると思っているだけなのだが。 お陰で昨夜は酷かったのだ。 「痛たた…」 思わず私は腰を押さえて、ぎゅっと音を鳴らしながらソファに座った。まったく大久保は、骸骨のような体をしている癖にそういう体力だけは豊富なのだから… 『木戸さん…』 『ん…?』 『私を捨てないでください』 『捨てるなんてそんな…お前は私をそんなふうに思っているのか?』 『…そういうわけでは…でも貴方が江藤と仲が良すぎるので、いつか私のもとを離れてしまうのではないかと不安で、』 『…私は彼の知識を借りているだけだよ。個人的な話題なんてしたこともないし…』 『……そうですか?』 『そうだよ。それに江藤君は結構な愛妻家でね、仕事が終わるとすぐ帰るらしい。子供も生まれたばかりだし、』 『…やっぱり良くご存知なんじゃないですか………』 大久保は、うう、と言って私の胸に顔を伏せた。大久保の様子に思わず私は笑ってしまった。 『困ったなぁ、私はどうすればいいんだ』 私が言うなり大久保はぱっと顔を上げて、きらりと灰色の瞳を輝かせて言ってくる。 『誰よりも私を愛していると言ってください!』 『……え、えー…』 『違うんですか??』 『ていうか、さっき言ったと思うのだけど』 『何度でも言ってください!』 『(こほん)…誰よりも、大久保を、愛しているよ』 『私もです、ということでもう一度!!』 そして私は押し倒された。 そんな途方も無い五時から男だけれど、 やっぱり今夜も、早く会いたい。
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