大久保が風邪をひいた。
「くしょん」
 昨日風邪をひいていた私は寝ている間に沢山汗をかいたので、今朝はすっかり治っていた。だから、
「今日はお前が休みだな」
 と、言ってやった。
 大久保は鼻を啜って、ぐず…となっている。
「くしょん」
「さぁほら、寝た寝た」
 私は何故か上機嫌である。いつも腫れ物のように接されているのが逆転して嬉しいらしい。大久保は叱られた子犬のような顔でそんな私をみた。
「木戸さんが看病して下さるのですか?」
「帰ってきてからはそうなるよ」
「ひとりで寝るのは嫌です」
「……なんの話だ」
「ですからつまりそういうっ、くしょん」
「そこまで言えるならひとりでも平気だろう?」
「……」
 し〜ん。
 大久保はずず…と鼻を啜りながら項垂れてしまった。鳶色の髪の毛がぱらりと揺れる。
 …少し、言い過ぎたかな。
 苦笑して、私は大久保の広い背中のほうへ廻り、彼の背中から彼の胸のほうに腕を回し、突然の私の行動に強張った大久保の背中に額をあてて静かに言った。
「昨夜はありがとう」
「……いえ…」
 昨夜大久保は私が熟睡している間中、こまめに私の体の汗を拭いたり着替えをさせてくれたようだった。そんな大事にしてくれなくていいのに、と思う反面とても嬉しい。この我侭な矛盾さえも。
 私は続けた。
「お前はいつも私の世話ばかりしているのだから、たまには役目を交換してくれたっていいだろう?」
 大久保の背中がぴくりと反応する。
「……木戸さん…」
 同時に大久保の掌が、彼の胸に回した私の手を包んだ。大きくてそのくせ冷たい指―――――私はこの指がとても好きだ。彼の広い背中も、低い声も、とても好きだ。
「大久保」
「はい」
「なるべく早く帰るから」
「…きっとですよ」
「うん」
「待ってますから」
「…うん」
 帰る場所などないから大丈夫。お前の待つ、この家のほかには。



0時を過ぎました→K「(すやすや)」、O「(シャワー中)添い寝〜♪添い寝〜♪そうだね〜」
1時を過ぎました→O「(眠っている木戸に小声で)おやすみなさい」、K「……ん…」、O「…むぞかぁ」
午前2時過ぎです→K「(汗を沢山かいている)」、O「…(このときを待っていた)着替えないと…(ニヤリ)」、K「(何も知らずに熟睡中)」
午前3時です→O「(木戸の額に浮かぶ汗をふき取る)」
4時過ぎです→ふたりは熟眠中です
5時を過ぎました→OがKに抱きついています
6時を過ぎました→O「おはようございます」、K「(すっきりした顔で)おはよう」
7時を過ぎています→K「寒いのか?」、O「平気ですっくしょん」
8時を過ぎました→K「今日は休んだ方がいい」、O「ひとりで寝るのは寂しいです」
9時を過ぎました→K「じゃぁ行って来る」、O「早く戻って下さらないと、私の熱はもっと上がりますから」
10時です→O「(Kのことを考えながら寝ている)」、K「(仕事中)」
11時を過ぎました→K「大久保はちゃんと寝ているだろうか」(寝ないでテレビばっかみてます)
12時です→O「(Kの作ったおかゆを食べている)さみしい…でも美味しい…」、K「(まだ仕事中)」
1時を過ぎました→K「(漸く昼食)」、O「(昼メロをみている)」
2時を過ぎました→O「(午後のワイドショーをみている)今日は木戸さん特集だからビデオビデオ」、K「(書類の判子押し)」
3時を過ぎました→K「(事務所宛てに届いたファンレターに返事を書く)」、O「俺もファンレター書こうかな…くしょん」
4時を過ぎました→O「(寝ている)」
5時を過ぎました→K「さて、そろそろ終われそうだな」、O「(Kの夢をみてニヤけている)」
6時です→O「…腹減った…」、K「夕飯は何にしよう」
7時を過ぎました→K「ただいま、すぐ作るから」
8時を過ぎました→O「美味しいです」、K「もっと食べるか?」、O「貴方が食べさせてくださるなら…」、K「……」
9時を過ぎました→O「一緒に浴びてください」、K「…」、O「私がシャワー中に倒れたらどうされますか?」、K「分かったから、そんな目でみないでくれ」
10時を過ぎました→K「おやすみ」、O「(もぞもぞと布団に入りながら)早く来てくださいね」
11時を過ぎました→O「(流石に熟睡中)」、K「(ほっと一息)」

season2/// ◇MondayTuesdayWednesdayThursdayFridaySaturdaySunday
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覆霞レイカ・ぷれぜんつ